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のぼうの城 著:和田竜

のぼうの城 著:和田竜

内容は、
時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、
落とせない城があった。武州・忍城。
周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。
城主・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。
智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった―。
(Amazon参照)


映画の脚本対象にした第29回城戸賞を受賞した忍ぶの城を、
映画化を前提に小説として執筆した作品で、
著者のデビュー作です。
2009年の本屋大賞でも2位だったらしく
読む前から期待が膨らみます。


読み始めるとすぐに登場人物の名前が、

成田長親、成田氏長、成田泰季、成田泰高
親兄弟で名前が酷似していたり、

正木丹波守利英、、酒巻靱負、柴崎和泉守など
読みが難しいものがあったりと

読みに戸惑って中々内容に集中できませんでした。

それでも、読ませ方が巧いのか
呼んでいる内に慣れていって物語に集中できるように!

ストーリーも序盤の方はそれといった山場も無く
あっ、これ失敗したかもと正直思いましたが、

読み進める毎に、おもしろさが加速度的にあがっていき
中盤ぐらいには完全にハマってました。


本作の1番の魅力は、
主人公ののぼう様こと成田長親心情が全く描かれない点

周りの人間の想像や感想で予想はしているものの
本心がわからないので、

ホントに天然で何も考えていないのか、
それとも実は思慮深いのか、
読者にも謎のまま終わってしまいます。

そんな所がおもしろいんです!

実はこうなんじゃないだろうか?
本当に何も考えないウツケ者なんだろうか?

と色んな想像ができて本当におもしろい!

豪傑でも、知性溢れる軍師でも無い。
自分では何も出来ない不器用な男が
新しいタイプの将を示しています。

2011年には狂言師の野村萬斎さん主演で実写映画化もされますし、
そちらも愉しみです。

史実を基にドラマ性を持たせた魅力のある1冊です。

のぼうの城 著:和田竜_a0114618_13111286.jpg


★★★★★ 星5つです!
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「Piece of Life~日常の欠片~HP版」はコチラ
by ks-1518 | 2010-12-02 13:12 | 読書


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