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KAGEROU 著:齋藤 智裕(水嶋ヒロ)

KAGEROU 著:齋藤 智裕(水嶋ヒロ)

内容は、
『KAGEROU』―儚く不確かなもの。
廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。
「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、
絶望を抱えた男。そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。
命の十字路で二人は、ある契約を交わす。
肉体と魂を分かつものとは何か?
人を人たらしめているものは何か?
深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。
そこで、彼は一つの儚き「命」と出逢い、
かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。
(Amazon参照)



話題になっていたのと水嶋ヒロさんが好きなのもあって
ためらいながらも久々にハードカバーの本を買ってしまいました。

色々と酷評されていますが、比較的おもしろかったです。

文章量が少なく1日(約2時間強)で読み終えるぐらいの量で、
すらすらと読むことができます。

」がテーマということですが、
主人公の40歳のおじさんヤスオの
どこか掴みどころの無いキャラのせいか
あまり重苦しい感じもありません。

話の展開自体は、飽きることなく最後まで読むことができますが、
ストーリー自体やクライマックスの落とし所などには、
それほど目新しいものは無く、
最後の展開はある程度想像できました。

後半部分は展開が急過ぎたので
もう少し丁寧い書いて欲しかったところです。


キャラクターについては、

自殺を図るヤスオは、
自殺の理由についてざっくり説明していただけで
その苦悩の深さや、葛藤などが描かれておらず
中々感情移入できませんし、

重要なキャラクターであるキョウヤも
設定はおもしろいのに、その良さを十分に発揮できていない感もあります。

おもしろい点はいっぱいあるのに
ちょっと物足りない感があって
もったいないってゆう言葉が頭に浮かびます。

ポプラ社小説大賞とかの情報が無ければおもしろいと感じますが、
大賞を受賞するほどのおもしろさは正直感じませんでした。

ポプラ社小説大賞は第1回に方波見大志さんが「削除ボーイズ0326」で
大賞を受賞してからは2~4回は受賞者無しってゆうハードルが高い賞なので
ちょっと「?」がついてしまいます。

しかも今回でポプラ社小説大賞は終了で、
賞金が2,000万円→200万円に減ったポプラ社小説新人賞に変わるってゆうんだから
色々疑惑が出てしまうのは仕方の無いのかも・・・

しかも販売方法も返本がほぼ出来ない責任販売制という方式で
書店にリスクが大きくて、新人作家では中々しない方法をとっているので、
もしかしたら出版社の戦略勝ちって事なのかもしれません。


僕自身は本作は嫌いじゃないので、
是非次作でもっとおもしろいものをと期待しています。
そして、この逆風を吹き飛ばしてくれることを祈ってます。

KAGEROU 著:齋藤 智裕(水嶋ヒロ)_a0114618_13374982.jpg


★★★★★ 星5つです!
過去のレビューリストはコチラ

「Piece of Life~日常の欠片~HP版」はコチラ
by ks-1518 | 2010-12-24 13:38 | 読書


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